負けるべくして負ける個人投資家
今回は無駄に長いので、先に結論を書いておきます。
相場から完全撤退したら負け組。
まだ生き残っているなら、今現在負けているだけ。
可能性は無限大。
さて、
株式投資の世界では、様々な人がしのぎを削っています。
ヘッジファンド、機関投資家、個人投資家、最近ではAIなんかも。
各々がそれぞれの強みを活かして相場という荒波の中で戦っているわけですが、
唯一個人投資家のみが、武器を持たずに戦いを挑んでいる現実があります。
武器を持たないどころか、「お金」に関する知識をほとんど持っていない人が
日本人には沢山います。私もそんな残念なうちの1人でした。
低い金融リテラシー
少なくとも私が学生時代に学校で
お金についてや資産運用について学んだことは一度もありません。
よく言われるように、お金に関する話をするのは、
一般的になんとなく汚いものやタブーとするような印象があります。
大人になり社会人になり、勤め人となっても
会社においても、株式投資や不動産投資をしているなどど話をするのは、
かなりたばかられると思います。
妬みや、やっかみこそあれ、話をして良いことなど何もありません。
まるで犯罪など悪い事をしてるかのように影口をたたかれることになります。
というのも、今までの日本、少なくともここ30年ほどの日本の経済状況が大きく
日本国民の心理に影響していると思います。
バブル崩壊以降、経済成長もなく、ずっとデフレが続く日本では、
10年前の100万円も、今の100万円も同じような価値でお金がだぶついています。
なぜ定期預金と普通預金の利率が違うか分かりますか?
これは、長期に渡って固定される定期と、いつでも今日にでも引き出せる普通預金、
この条件の中で、多くの人が時間が経過すればインフレが進むと考えているからです。
お金の価値が下がると考える、もしくはそのお金があればもっと稼ぐ事ができると考えるから、
銀行は、高い金利を払って、お金を預けて貰うのです。
今の日本は、銀行が頼まなくてもみんなが貯金をしたがります。
だって、お金持ってても増えないから。
こうなると銀行も高い金利を払わなくても、
お金を入手できるのでどんどん金利も下がって行きます。
これはかなり簡略化した流れですが、
こんな簡単な道理すらも理解できていない人が沢山います。
一方、経済成長を続け、インフレが進む他の国では、
10年前の100万円が、現在では50万円程度の価値しかなくってしまっていることもあります。
物によってはブレこそありますが、例えば
10年前のコーラは50円だったのに、100円になっていたらインフレが進んでいることです。
こういった経済が成長中でインフレが進む国では、常にお金が足りません。
銀行も企業も国民もみんなお金を必要としています。
銀行は高い金利を払ってでもお金をかき集め、
企業は高い金利払ってでもお金を借りてどんどん新しい仕事を生み出していき、
貧乏人は、日々上がりゆく物価に悲鳴をあげながらも同様にあがっていく給与に喜び、貯める事無くきれいに使いきり、
お金持ちは、投資など色々な手法でインフレに負けないくらいお金でお金を育てます。
みんなが裕福になっているような気になりますが、
実際に資産が残っているのはお金持ちの手元であって国民全員ではありません。
持たざる者はずっと持たず、持てる者はひたすら裕福になっていきます。
今のタイを見ていれば良く分かりますね。
給与の額に見合わないほど高額な家や車をローンで購入し、
そのローンで徴収された金利が、ローン会社に投資している投資家の元に集まります。
企業に投資している投資家が、間接的に支払う従業員への給料が増えると手元からお金が無くなるのではありません。
支払う給料が増えると、増えた以上に手元に帰ってくるお金が増えてきます。
だからこそピケティの r>g が成り立つのです。
いずれにせよせっかくまとまった資金があるのに、
ただただ貯金して眠らせるようなことは絶対にお勧めしません。
「貯金だけしっかりしていれば、老後は国が面倒を見てくれる。」
一つの会社に定年まで勤めあげ、会社につくし、慎ましく暮らし、
ある程度の貯蓄さえしていれば、老後は国が助けてくれる。
団塊の世代が老後に突入するまではこのシステムは不具合も少なく成り立っていました。
しかし、今となっては不具合だらけで、実際はそもそも国が助けるのではなく、
次の世代の生産年齢人口に当たる若者に負担が行くだけです。
団塊の世代までは、大勢いる彼ら自身が前代までの老齢の方々を支えていただけです。
そして、いざ団塊の世代が老齢になった後、彼らを支える事が出来る世代が次にいますか?
そういったことにさすがに10年前くらいに気付き始め、、
「実力社会」と政府が言い始めたのではないでしょうか。
今思うとその頃が分岐点だったのだと思います。政府は明言こそしていませんが。
実力社会とかそんなことを言い始めたその頃から
年功序列と終身雇用のシステムがまるで、悪の元凶かのように扱われはじめ、
昨今では一つの会社に尽くせというどころか、逆に国全体で副業を推進してくる始末です。
1人の老人を数人の若者で支えるのが、日本の年金システムです。
若者と老人の比率が同数や、より少なくなると立ちいかなくなるのは自明です。
そういったことにも気づかないのも、情報や金融リテラシーの低さ。
リボルビング払いやカードローンなど、自分の銀行預金の利息と比べれば
どれだけ搾取されているのか分かりそうなものだし、
あれだけ有名な芸能人のギャラを払い、CMをたれ流し、街中にATMを設置し、コールセンターで人を使ってでも、みんなにお金を借りて欲しいのです。
なぜなら、それだけ費用を使っても儲かるから。
ひいては、金を借りた貧乏人がさらに損をしているということです。
仕事柄、色々な国に出張して、駐在もいくつかしてきましたが、
日本ほど、カードローンという名の借金を、
ゴールデンタイムのテレビCMで堂々と流す国は今まで見たこと無いです。
だって、借金ですよ。いくら綺麗な、かっこいい芸能人を使っていても、ただの借金です。
はじめはみんな素人。そして素人はまず狩られる。
ちょっと話を戻します。
簡単に言うと、日本人の「お金」に関するリテラシーは足りてないということです。
ここでのリテラシーとは、ある物事を理解・解釈・分析して、
必要に応じて自分の考えを出力し対応することです。
自分なりに解釈して、何かしらの行動に移すところまでです。
このように金融リテラシーの低い、
政府におんぶに抱っこ状態で何も知らないまま年をとってしまったおっさんが
それなりに資金をたずさえて素人投資家としてデビューします。
退職金でそのまま投資家デビューなんて最悪です。
そしてそのデビューした先には、
海千山千の猛者たちがうごめき、カモがネギとお金しょってきたとばかりに狩りに来ます。
そりゃ負けますよね。勝てるわけがありません。
はじめの方はビギナーズラックで勝てるかも知れません。
しかし、ゆっくりと、でも確実に削り取られて資金が減って行きます。
一度も負けずに勝ち組になる投資家なんて存在しない
これです。
どれだけ勝ってる有名な投資家の方々も、現在では億を超える資産を作っているあの人も
一度の損切りもしたことない人なんて絶対にいません。
はじめは、みんな素人です。
でもこの素人は負けても負けてもやめなかった人。
退場する前にどうすれば良いのか考える事が出来た人達です。
長期投資でも短期投資でもいいです。資産が増えさえすれば。
ただ、資産を減らして撤退するから負け組になるのです。
撤退するともうチャンスはないですが、生き残っていれば可能性は無限にあります。
例えば、株式投資の世界に2人の個人投資Aさん、Bさんが飛び込んだとします。
2人とも資金はそれぞれ1,000万円です。
2人ともたった半年で500万円損しました。
Aさんはすべて失うのが怖くなって500万円を回収し、相場から撤退しました。
Bさんもすべて失うのが怖くなって500万円を再び増やす為に勉強をしました。
撤退したAさんは死ぬまで投資で負けた人です。
続けたBさんは途中からトレードも好転し、トータルでもプラスになりました。
世間でよく言われる個人投資家の9割が負けているというのは、
決して嘘じゃないとは思います。
しかし、この9割という数字の内訳は、
相場に現在も参戦している人が9割負けてるんじゃなくて、
撤退した人も含んでいるからそりゃぁ割合も高くなります。
負けて撤退するのは簡単ですが、勝ち続け生き残るのは難しいです。
だから株式投資の世界では、「勝ちに行く」のではなく、
「負けない戦い方をする」のが正解だと考えます。
これがごく稀な非凡な才能を持った人ではなく、凡人がとるべき戦略です。
だからこそ私は短期投資メインではなく、長期投資主体。
短期は少額資金で資産に影響しない程度でポチポチと。
これに気付く前に負けてしまう方々、負けてしまった方々が、
撤退して、生涯負け組となり、
全体の負け組比率を9割にまで押し上げているんだと思います。
まずは、生き残る事。
「負けている」のはただの現在の状況。今後なんとでもなる。
「負けた」のは、すべてを諦めた最終地点。死ぬまで負け組。
諦めなければいつか転じてプラスになるはず。
少なくともそう私は考えてまずはタイ株をやって行こうと思っています。
長々と失礼しました。
ではでは。