あの時売らなければ今頃大儲け
ども、おっさんマガジン編集長です。
長期投資、短期投資、スイングトレード、デイトレ、スキャルピング。
様々な時間軸での投資方法がありますが、すべての投資家に共通するのが
たらればの実体験。
あの時買っていれば今頃○○。
売らずに持ってさえいれば今頃○○。
今日はそんなタラレバについて共有したいと思います。
カタカナで書くとニラレバみたいなので、
ひらがなで「たられば」にしますね。
あの時○○していれば今頃○○は、勝利への道筋ではない
「たられば」の種類
私達がたらればを考えてしまうタイミングには、
■あの時売らずに持っていれば、今頃○○円儲かっていた
⇒想像するだけで実現しなかった利益
このような勝ちを妄想するケースが1つ。
その逆に、
■あの時売っていれば、今頃こんなに損しなかったのに。
⇒現実となってしまった損失
と、負けた現実を無かったことにするためのケースがあります。
しかし、2番の実際に損失が発生している負けケースにおいては、
無意識に現実逃避しようとする私達の便利な脳内処理のおかげで
たらればとしてなぜかあまり何度も思い返されることはないですので、
ここでは無視します。
1番目の、想像するだけで実現しなかった利益について、
私達は頻繁にたらればを想起することになるのですが、
実際、たらればの通りそのタイミングの一時点ではその通りの行動が出来たとしても、
その行動を継続することが出来るでしょうか?
分かりづらいと思いますので、下記の通り例を挙げて説明します。
〇〇だったとして、今まで継続している自信はありますか?
■あの時売らずに持っていれば、今頃○○円儲かっていた
この2つを注意深く読むと、実は時制が連続していて、
■あの時買っていれば、今頃○○円儲かっていた
と、
■あの時売らず持っていれば、今頃○○円儲かっていた
を合わせると、
⇒あの時買って、さらに、ずっと持っていれば、今頃○○円儲かっていた
となります。
タイミング良く買って、なおかつ株価が下行ったり上行ったりすったもんだしながら、
いつ急落するか分からないけど株価が今のところ上がっている中、
ずっと売りたい欲望に耐えながら、
その株を掴み続けてようやく、今のそのたらればの妄想儲けとなります。
次の瞬間、もしくは明日、明後日には、
今現在の株価を頂点に急転直下、崖のように下落していく可能性もある中で、
そういった不安と戦う長い期間をすっ飛ばして
今、この瞬間に握り続けていればと言うたらればです。
そのたらればに意味はあるでしょうか。
さらに、
買っただけではダメ。
売らなかっただけでもダメ。
今のこのタイミングまで持ち続けて、株価が最高値の時に売って、
次の瞬間から値崩れして株価が下がってくれてようやく、
たらればから解放されます。
だって、そうですよね?
もし買って売らずに保有してて、今だ!っていうタイミングで売って
満足のいく利確をしたとしても、
売った後、そこからもっと株価が騰がっていったら、
■あの時売らず持っていれば、今頃○○円儲かっていた
という、たらればを考えてしまうんですよね?
たらればを考えている時点で、
満足のいくトレードなど絶対に出来ません。
なぜ株価が騰がりきる前に売ってしまうのか
私は最近、
たらればの経験を、トレードの失敗とか成功などと考えている限り、
いつまでたっても同じようなことの繰り返しになると考えています。
上述しましたが、もしそのタイミングで売らなかったとしても、
株価が騰がりきる前に待ちきれずに結局売っていたかも知れません。
では、私たちはなぜ大きな利益を生む前に売ってしまうのか?
それは(冷静になった自分が許容できる以上の)リスクを取り過ぎているから。
買うのは一時的な行為ですので、
勢いで買う時もあれば、勘やノリに任せて買う事もあるでしょう。
しかし、買った後保有するのは継続的な行為です。
買ったまま売らず、株価が落ちる恐怖に向き合いながら
保有し続けなければいけません。
買う時の一時の感情や勢いではなく、
冷静になった時に、
自分が取れるリスク以上にリスクを取っていた場合、
時間の経過とともに、
株価が急落する恐怖やリスクに耐えられなくなって
ベストと考えるには程遠い株価で売ってしまうのです。
失っても痛くない金額を運用する
リスクを取り過ぎている。
この言葉の特効薬が、「失っても痛くない金額を運用する」です。
投資界隈ではありふれている、でも有り難いお言葉。
使う予定の無い余剰資金で投資しなさい
失っても良いと思える資金で投資しなさい
この格言は、
使う予定のある資金や、無くなったら困る資金をタネ銭にしていると、
もし実際に減った時はもちろんのこと、
少しでも減る恐怖を感じただけで、冷静な判断が出来なくなるから。
100円の損が怖くて焦って損切しますか?
それが1000円だったら?1万円だったら?10万円だったら?
もし100万円がなくなるかもしれないトレードで
冷静な判断が出来るでしょうか。
この金額は人それぞれで状況次第ですが、
自分がこの金額無くなったらキツイなと思う金額が
自分がリスクを負う事が出来るボーダーライン
〈冷静にリスクを許容できる金額の最大値〉です。
今一度、自分ならそれがいくらなのか冷静に考えてみましょう。
リスク=リターン
金融の世界では、
負けることになるマイナス方向への変動は当然リスクとして考えますが、
勝つプラス方向へのリターンについても、リスクの一つとして考えるようです。
これは、リターンの不確実性をベースに考えるからですが、
例えば、
大型株は、大きく勝てる可能性は少ないけど、大きく負ける可能性も少ない。
小型株は、大きく勝てる可能性もあるけど、大きく負ける可能性もある。
上記から、
上振れする可能性があるという事は、
下振れする可能性もある。
言い換えると、
リターンがあるところには、リスクがある。
順番を入れ替えると、
リスクの無いところにリターンは無いとなる訳です。
当たり前と言えば、当たりまえですね。
リスクが無いのに、リターンはたっぷりあるっていうのは、
何か悪い事をしているか、大ウソ・詐欺でしかないです。
距離を置いて真っ当な運用をしましょう。
たらればの無いトレードなど存在しない
今さらですが、
そもそもなんとなく「たられば」は良くないという固定概念があるような気がしますが、本当にそうでしょうか。
遠い過去のトレードを引きずり、
現在でもトレードに影響を及ぼすような事があれば、
その「たられば」の行動は当然悪だと思います。
しかし、「たられば」の思考自体を問題視するのは的外れ。
この過程において沢山の間違いを認識する必要があります。
そこで参考にしたいのが仮説・検証のプロセス。
そもそも私たちはなぜトレードをしようと思っているのかを
このプロセスに重ね考えることで物事がクリアになります。
一般的に、仮説・検証のプロセスは、
■仮説・検証プロセス
ステップ①:問題点をあぶりだす
ステップ②:問題解決への仮説を構築し実行する
ステップ③:仮説が正しかったか検証する
ステップ④:よりブラッシュアップする
こんな感じだと思いますが、
問題点とは、理想と現実のギャップの事なので、
デイトレの場合は、
本当は○○万円欲しいけど今○○万円しかない。
だから○○万円稼がないと。
と、なりますね。
よって、○○円稼ぐ!という明確な目標(問題点)となります。
ここで今一度確認したいのが、
デイトレや短期トレードをする時に、
最終的にいくら稼ぎたい!
という明確な目標を決めてからトレードを開始しているでしょうか?
この明確な目標が無い限り、
いつまでも・どこまでもゴールに辿りつくことはありません。
だって、ゴールが無いんだから。
いくら稼ごうとも、もっと欲しいもっと欲しいとなり、
後悔というか、たられば地獄から抜け出すことは出来ません。
人間の欲望は無限ですので、
明確な目標が無い限り、いくら稼ごうといつまでたっても満足しません。
ダラダラと際限なく、より高みを目指しトレードを続け、
そこで少しでも失敗しようものなら、またもや「たられば」を想起し、
後悔し始める。
なので、目標設定が何より大事です。
その目標を達成した上で
「たられば」を使ってより良いトレードをする為に、
インするのをもうちょっと待った方が良かったとか、
もうちょっと分散したほうが良かったとか、
後悔ではなく、次のトレードに向けての要改善点のあぶり出しをしたいですね。
指値を変更させる悪魔のささやき
その日の稼ぎの目標額を決め、いざトレードをスタートしたとしても、
誘惑はいくらでもあります。
含み益の時であれば、目標額には届いていないけれど、
含み益がある内に売った方が良いんじゃないかとココロの奥の悪魔が囁きます。
含み損の時であれば、負けの許容限度にはまだ遠いけれど、
含み損がまだ少ない時に損切りしたほうがいいんじゃないかと心の奥の悪魔が囁きます。
買っている時の、焦って目標には遠い少額での利確、
負けている時の、焦って許容できる損よりだいぶ少額での損切り。
どちらにも共通するのは、突き詰めればリスクの取り過ぎだと思います。
大体のケースにおいて後悔することになります。
この悪魔のささやきの声の大きさに直結するのが恐怖の大きさです。
恐怖に勝つとか負けるとかそういう問題じゃない
エントリーの恐怖に勝つ
恐怖に打ち勝つトレード法
このような有り難いお言葉をネットや書籍で目にする事がございますが、
恐怖に勝つとか負けるとかを論点のベースにしている時点で完全にギャンブル。
勝ったら天国、負ければ地獄。
そもそも、このようなトレードをしていたら、
いつか必ず退場するのは自明。
極々一部の天才トレーダーたちは、退場ではなく、
たんまりと稼いで相場から卒業できるのかも知れませんが、
私のようなパンピー・凡人は
絶対に誰かに回収されて相場から消えることになります。
これまで何人のトレーダーの屍が相場に転がっているでしょうか。
更新の止まった投資ブログがいくつネット上に散乱しているでしょうか。
では、どうするのか?
答えはあなたもすでに分かっていると思いますが、
怖いと思わない資金量で臨む。
それ以外にありません。
怖く無ければ、悪魔のささやきは完全無視。
気にもなりません。
だって負けたところで多少は痛いけど、
致命傷を負うことは無いから。
そもそも、1回負けたくらいで致命傷を負うようなトレードをしていたら、
いつか退場するのは明白。
1度も負けずに勝ち続ける人など、この地球には存在しません。
資金コントロールしながら、
メンタルを平静に保ちながら
淡々とトレードして、勝ち分を積み上げていく。
人生の一発逆転などトレードで狙わない。
一か八かなんて、
カジノで赤黒ルーレットやってるんじゃないんだから。
トレードでは勝ちも負けも味わいながら、少しずつ勝ち分を積み増していく。
「たられば」は、より良い選択と行動に繋げる為に妄想し、
過去に縛られるために後悔するものではない。
自分の目標に向けて、より良い選択、
より良い制約を自分で作っていきましょう。
例えば、私のように自分がすぐ熱くなってしまう性格なら
それに見合った資金量しか当日に扱えないようにするとか。
1度でも負けたらその後に悪影響が出るというなら、
自分にとってハナクソみたいな金額からしかインできない自分ルールを作って、
勝ちにも、負けにもまず慣れていくなど。
「たられば」まとめ
ということで、長々と書いてきましたが簡単にまとめると
生産性の無い「たられば」の要因は、
目標設定の明確化の有無と
自分に最適な投下資金額コントロールの欠如。
目標が無ければいつになってもゴールを迎える事は出来ず、
資金コントロールが適切でなければ、いつ退場になってもおかしくありません。
市場からの退場だけで済むのであればまだ幸い、
投資での失敗が、日常生活に支障をきたす可能性だってあります。
タイ株を始めてたったの2年で500万円以上も失った私にも
一発逆転を狙いたく気持ちは、
痛いほどわかりますが、
デカく張ってその時は勝ったとしても、
どうぜすぐにまたデカく張って同じか、もしくはそれ以上に負けることになります。
その繰り返しをしていたら、いつか破綻します。
ギャンブル的発想ではダメだとようやく少しずつ分かってきました。
大きく賭けて、短期間で億り人となり悠々自適。
そんな方もいらしゃるはずですが、
おそらくそんな天才の方の手法は再現性はなく、
天賦の才だと思います。
そもそもマネして出来るものでもないし、
過去の相場と全く同じ相場になることはありません。
○○で1億稼ぎました。
とか
デイトレで副業
みたいな記事や本を読んだところで物語としては面白いと思いますが、
参考になるものではないし、参考にすべきものではないと思います。
まずはしっかり自分と向き合って、目標設定。
次にその目標に対して、自分がどれだけリスクを負うことができるのか。
しっかり考えた上で、
大切な資金を、ギャンブルではない資産運用として着実に増加させ、
あなたにとっての幸せな人生を送る為に活用してください。
ではでは。